今回は、マイホームを検討しているファミリー世帯に向けて、住宅ローン審査の流れと基準についてご紹介したいと思います。
住宅ローン審査とは、銀行や信用金庫などの金融機関が、借り手の返済能力や信用度をチェックすることです。
住宅ローンは大きな借金ですから、金融機関は慎重に判断します。
では、具体的にどのような流れで審査が行われるのでしょうか?
住宅ローンの審査に必要な書類をチェックしよう
住宅ローンの審査は、事前審査と本審査の2段階に分かれています。
事前審査は、売買契約前に行うもので、返済能力や信用情報をチェックします。
本審査は、契約後に行うもので、物件や保証人などをチェックします。
それぞれの段階で必要な書類が異なりますが、どちらも書類が不足していると審査が遅れたり、通らなかったりする可能性があります。
そうならないためにも、あらかじめ必要な書類を揃えておくことが大切です。
まず、事前審査に必要な書類は以下のとおりです。
- 住宅ローン申込書(事前審査用)
- 物件概要がわかる資料(物件販売チラシ、見積書や間取り図、土地の公図など)
- 印鑑(認印も可)
- 本人確認資料(運転免許証、健康保険被保険者証、パスポートなど)
- 収入確認用書類(職業別に異なる)
- 借り入れ中の償還予定表または残高証明書
収入確認用書類は、給与所得者は源泉徴収票、個人事業主や法人の代表者は確定申告書や決算報告書などが必要です。
詳しくは以下の表を参照してください。
職業 | 書類名 |
---|---|
給与所得者 | 源泉徴収票(前年分) |
個人事業主・確定申告をしている人 | 確定申告書と付表(直近3年分) |
法人の代表者 | 源泉徴収票(直近3年分) 法人の決算報告書(前3期分) 確定申告書と付表(直近3年分) |
これらの書類の中には、外部から入手する必要があるものもあります。
例えば、住宅ローン申込書は金融機関からもらう必要がありますし、物件概要は不動産業者からもらう必要があります。
また、源泉徴収票や決算報告書は勤務先や法人からもらう必要がありますし、借り入れ中の償還予定表や残高証明書は借り入れ先からもらう必要があります。
これらの書類は入手に時間がかかる場合もあるので、早めに準備しておきましょう。
次に、本審査に必要な書類は以下のとおりです。
- 売買契約書
- 物件登記簿謄本
- 物件固定資産税評価証明書
- 保証人の同意書(保証人が必要な場合)
- 保証人の収入証明書(保証人が必要な場合)
これらの書類は、売買契約後に不動産業者や法務局などから入手できます。
ただし、保証人の同意書や収入証明書は、保証人に直接依頼する必要があります。
保証人は、住宅ローンの返済が滞った場合に代わりに支払う義務が発生するので、信頼できる人を選ぶことが重要です。
また、保証人になってもらうためには、事前に相談して了承を得ることが必要です。
事前審査に必要な書類や準備すべきもの
まず、住宅ローンの本審査とは何でしょうか?本審査とは、売買契約後に行われる審査で、金融機関がローン申し込み者の返済能力や信用情報をチェックするものです。
本審査に通らないと、住宅購入ができなくなってしまうので、非常に重要です。
しかし、本審査に申し込む前に、売買契約前に行われる事前審査というものがあります。
事前審査とは、金融機関がローン申し込み者の大まかな返済能力や信用情報をチェックするもので、本審査に通る可能性を事前に確認することができます。
事前審査に通れば、本審査にも通る確率が高くなりますし、事前審査に落ちれば、本審査にも通らない可能性が高くなります。
そのため、事前審査は住宅ローンの申し込みにおいて非常に重要なステップです。
では、事前審査に必要な書類や準備すべきものは何でしょうか?事前審査に必要な書類は、以下の表のとおりです。
書類名 | 説明 |
---|---|
住宅ローン申込書(事前審査用) | 金融機関から入手できる書類で、個人情報や収入・支出・借入状況などを記入します。 |
物件概要がわかる資料 | 不動産業者から入手できる書類で、物件の価格や面積・間取り・立地などを示します。 |
印鑑 | 住宅ローン申込書に押印するために必要です。認印でも可です。 |
本人確認資料 | 運転免許証や健康保険被保険者証などの写しが必要です。両面コピーが必要です。 |
収入確認用書類 | 給与所得者は源泉徴収票(前年分)、個人事業主や法人代表者は確定申告書や決算報告書などが必要です。詳細は後述します。 |
借り入れ中の償還予定表または残高証明書 | 他の金融機関から借り入れ中の場合は、その返済状況や残高を示す書類が必要です。 |
収入確認用書類は職業別に異なります。以下の表に示します。
職業 | 書類名 |
---|---|
給与所得者 | 源泉徴収票(前年分) |
個人事業主・確定申告をしている人 | 確定申告書と付表(直近3年分) |
法人の代表者 | 源泉徴収票(直近3年分)、法人の決算報告書(前3期分、科目明細付き)、確定申告書と付表(直近3年分) |
これらの書類は、外部から入手する必要があるものと自分で用意する必要があるものがあります。外部から入手する必要があるものは、以下の表に示します。
書類名 | 入手場所 |
---|---|
住宅ローン申込書(事前審査用) | 金融機関 |
物件概要がわかる資料 | 不動産業者 |
源泉徴収票 | 勤務先 |
法人の決算報告書 | 本人が代表を務める法人 |
借り入れ中の償還予定表または残高証明書 | 借り入れ中の金融機関 |
これらの書類は、審査を受けることが決まったら早めに入手しておきましょう。
特に源泉徴収票は、年に一度しか発行されないので、大切に保管しておく必要があります。
保管していない場合は、勤務先に再発行を依頼することができます。
事前審査に通ったら、次は本審査に申し込みます。
本審査では、物件や借入額などに応じて、追加で書類を提出する必要があります。
本審査に必要な主な書類や準備すべきものは、以下の表のとおりです。
書類名 | 説明 |
---|---|
住民票の写し | 家族全員の記載があり、本籍地やマイナンバーの記載がないものです。 |
市区町村役場で入手できます。 | |
印鑑登録証明書 | 印鑑登録をしている場合は必要です。市区町村役場で入手できます。 |
本人確認資料 | 運転免許証やパスポートなどの原本です。健康保険証などでも可です。自分で用意します。 |
収入印紙 | 金銭消費貸借契約証書に貼付するために必要です。借入額に応じて金額が異なります。郵便局などで購入できます。 |
入金口座の通帳・キャッシュカード | 融資金の入金口座を確認するために必要です。自分で用意します。 |
実印 | 契約時に押印するために必要です。自分で用意します。 |
住宅ローンの審査基準と対策について
住宅ローンは一生に一度の大きな買い物ですから、審査に落ちてしまうとショックですよね。
でも、審査に落ちる理由は決して不明確なものではありません。
実は、審査では10項目のポイントがチェックされています。
それでは、その10項目とは何なのでしょうか?
ざっくりと説明すると、以下のようなものです。
- 勤続先:勤務先の経営状況が安定しているか
- 雇用形態:正社員や契約社員など、収入が安定しているか
- 年収・返済負担率:年収に対して借入額が適切か
- 勤続年数:3年以上など、一定期間働いているか
- 年齢:借入時と完済時の年齢が基準内か
- 借金・滞納:他のローンやクレジットカードなどで借金や滞納がないか
- 健康状態:団信に加入できるか
- 担保価値:土地や建物が売却しやすいか
- 資産状況:余裕資産があるか
- 連帯保証:配偶者などの収入を合算できるか
これらの項目をひとつひとつ詳しく見ていきましょう。
勤続先
住宅ローンは長期的に返済していくものですから、毎月安定した給与収入が見込めるかどうかが重要です。
そのため、勤続先の経営状況に不安がないかどうかがチェックされます。
例えば、倒産やリストラの危機にある会社や、業績が悪化している会社では、将来的に収入が減ったり失ったりする可能性が高くなります。
そうなると、住宅ローンの返済能力が低下してしまいますよね。
逆に、安定した業界や業種で働いている場合や、成長性の高い会社で働いている場合は、収入が増えたり安定したりする見込みがあります。
そうすると、住宅ローンの返済能力も高く評価されます。
雇用形態
雇用形態も収入の安定性に関係します。
一般的には、正社員は最も安定した雇用形態とされますが、契約社員や派遣社員でも、更新期間や契約内容によっては安定した収入を確保できます。
しかし、パートやアルバイト、日雇い労働者などは臨時的な雇用形態であり、収入が不安定だったり不規則だったりする場合が多いです。
そのため、住宅ローンの対象外となることがほとんどです。
自営業者の場合は、過去3年の確定申告書から、事業の安定性や継続性が判断されます。
事業収入が安定しているかどうかや、赤字がないかどうかなどが重要なポイントになります。
年収・返済負担率
住宅ローンを無理なく返済できるかどうかは、審査の最重要項目です。
そのため、年収と借入額のバランスが適切かどうかが厳しくチェックされます。
具体的には、借入希望額から返済負担率を計算し、年収の30~35%以内かどうかを見ます。
返済負担率とは、毎月の住宅ローンの返済額が年収に占める割合のことです。
例えば、年収500万円で借入額3000万円の場合、返済期間35年・金利1.5%で計算すると、毎月の返済額は約8万円になります。
これを年収で割ると、8万円×12ヶ月÷500万円=19.2%ということになります。
この場合は、返済負担率が30~35%以内に収まっているので、審査に通る可能性が高いです。
しかし、年収500万円で借入額5000万円の場合はどうでしょうか?
同じ条件で計算すると、毎月の返済額は約13万円になります。
これを年収で割ると、13万円×12ヶ月÷500万円=31.2%ということになります。
この場合は、返済負担率が30~35%のギリギリになってしまいます。
しかも、この計算では他のローンやクレジットカードの返済額も含めていません。
実際には、他の借金もあればそれらも加算されて返済負担率が上昇します。
そのため、この場合は審査に通る可能性が低くなります。
つまり、大切なのは年収だけではなく、借入額も考慮することです。
年収が高くても借入額が多すぎれば審査に通らない可能性がありますし、逆に年収が低くても借入額が少なければ審査に通る可能性があります。
勤続年数
勤続年数は3年以上という基準を設けている金融機関が多いですが、1年以上としている場合もあります。
勤続年数が長いほど、仕事に定着していることやキャリアを積んでいることを示すため、収入の安定性や将来性が高く評価されます。
年齢
住宅ローンは借入時と完済時の年齢に制限があります。
一般的には、借入時は20歳以上、完済時は70歳以下という基準が設けられています。
これは、住宅ローンの返済期間が長いことや、高齢になると収入が減ることを考慮しています。
借入時に若すぎると、収入が安定していなかったり、将来の計画が立てにくかったりする可能性があります。
完済時に高すぎると、老後の生活費や医療費などの負担が増えたり、団信の保険料が高くなったりする可能性があります。
ただし、年齢制限は金融機関によって異なりますし、柔軟に対応してくれる場合もあります。
例えば、借入時に40代後半であっても、返済期間を短くしたり、連帯保証人を付けたりすれば、審査に通る可能性があります。
借金・滞納
住宅ローンの審査では、他のローンやクレジットカードなどで借金や滞納がないかどうかもチェックされます。
これは、返済能力や信用度を判断するためです。
他の借金が多い場合は、住宅ローンの返済負担率が上昇してしまいますし、滞納がある場合は、返済意思や信用度が低いと見なされます。
そのため、審査に通る可能性が低くなります。
特に注意したいのは、クレジットカードの利用状況です。
クレジットカードは便利な決済手段ですが、使いすぎてしまうと借金になってしまいます。
また、クレジットカードの支払いを延滞してしまうと、信用情報機関に登録されてしまいます。
信用情報機関に登録されると、5年間はその記録が残ってしまいますし、他の金融機関からも情報を閲覧されてしまいます。
そのため、住宅ローンの審査に大きな影響を与えてしまいます。
住宅ローンを申し込む前には、他の借金をできるだけ減らしたり完済したりすることや、クレジットカードの利用や支払いを適切に管理することが大切です。
健康状態
住宅ローンを申し込む際には、団体信用生命保険(団信)に加入する必要があります。
団信とは、万一死亡や高度障害などで住宅ローンの返済ができなくなった場合に、残債を一括で支払ってくれる保険のことです。
団信に加入するためには、健康診断や健康アンケートを受ける必要があります。
これは、保険料や保障内容を決めるためです。
健康診断や健康アンケートで重大な病気や障害が判明した場合は、団信に加入できないかもしれません。
また、加入できても保険料が高くなったり、保障内容が制限されたりする可能性があります。
そのため、住宅ローンの審査にも影響を与えてしまいます。
住宅ローンを申し込む前には、定期的に健康診断を受けたり、生活習慣を改善したりすることが大切です。
担保価値
住宅ローンは、借りるお金に対して土地や建物を担保として差し出すことで、金利を安く借りることができます。
しかし、担保となる土地や建物には、売却しやすさや価値の変動などのリスクがあります。
そのため、金融機関は、担保となる土地や建物の価値を評価します。
これを担保価値といいます。
担保価値は、土地や建物の面積や立地条件、築年数や構造などによって決まります。
一般的には、広くて新しくて立地条件の良い土地や建物ほど、担保価値が高くなります。
担保価値が高いほど、金融機関は安心して貸し出すことができますし、借りる側も金利が安くなったり借入額が増えたりする可能性があります。
逆に、担保価値が低いほど、金融機関はリスクを回避するために金利を高くしたり借入額を減らしたりする可能性があります。
住宅ローンを申し込む前には、担保となる土地や建物の価値を調べたり、査定を受けたりすることが大切です。
資産状況
住宅ローンの審査では、資産状況もチェックされます。
資産状況とは、貯金や株式などの余裕資産のことです。
余裕資産がある場合は、万一収入が減ったり失ったりしても返済できる可能性が高くなります。
また、自己資金(頭金)として多く用意できる場合は、借入額を減らせるだけでなく、信用度も高く評価されます。
逆に、余裕資産がない場合は、返済能力や信用度が低く見られる可能性があります。
そのため、審査に通る可能性が低くなります。
住宅ローンを申し込む前には、できるだけ貯金を増やしたり投資をしたりすることで資産状況を改善することが大切です。
連帯保証
住宅ローンの審査では、連帯保証人の有無もチェックされます。
連帯保証人とは、万一返済できなくなった場合に代わって返済する義務を負う人のことです。
住宅ローンは「保証会社」に保証してもらうので、連帯保証人は基本的には必要ありません。
住宅ローンの審査に落ちてしまう理由と対策
住宅ローンの審査に落ちてしまう理由と対策についてお話ししたいと思います。
住宅ローンの審査は、銀行があなたの返済能力や信用度をチェックするものです。
審査に通らないと、マイホームを買う夢が叶わなくなってしまいますよね。
でも、審査に落ちたからといってあきらめる必要はありません。
落ちた理由を知って、対策を立てれば、次は通る可能性が高くなります。
では、どんな理由で審査に落ちるのでしょうか?一般的には、以下の4つが多いです。
- 年齢・雇用形態・勤続年数の条件を満たさない
- 返済負担率が高すぎる
- 滞納履歴がある
- 健康状態に不安がある
それぞれの理由と対策を見ていきましょう。
年齢・雇用形態・勤続年数の条件を満たさない
年齢は、銀行によって借りられる年齢や完済する年齢が決まっています。
ホームページなどで確認しておきましょう。
雇用形態や勤続年数は、安定した収入があるかどうかを見るためのものです。
正社員で3年以上働いている人は有利ですが、それ以外の人でも諦めなくて大丈夫です。
対策としては、
- 子どもを後継者にする「親子リレーローン」を利用する
- 別の銀行に申し込んでみる
- 転職した理由や収入見込みをしっかり説明する
- 自己資金を多く用意する
などがあります。
返済負担率が高すぎる
返済負担率とは、毎月の住宅ローンの返済額が収入に占める割合のことです。
銀行は、この割合が30~35%以下であれば大丈夫だと考えています。
それ以上だと、生活が苦しくなったり、返済できなくなったりするリスクが高くなります。
返済負担率を下げる方法は、
- 住宅ローンの借入額を減らす
- 他の借入を完済する
- 使わないクレジットカードを解約する
などがあります。
マイホーム入居後の家計も考えながら、無理のない資金計画を立てましょう。
滞納履歴がある
借り入れを滞納したことがあると、信用情報に5年間記録されます。
この記録があると、住宅ローンの審査はほとんど通りません。
対策としては、
- 滞納の記録が消えるまで待つ
- 自分の信用情報を確認する
などがあります。
信用情報は、郵送などで請求できます。
自分の状況を把握しておくと安心です。
健康状態に不安がある
住宅ローンには、団体信用生命保険(団信)というものがついています。
これは、借り手が亡くなったり、重い病気になったりしたときに、住宅ローンの残債を保険会社が肩代わりしてくれるものです。
しかし、持病などがあると、団信に加入できない場合があります。
その場合、住宅ローンが借りられない銀行も多いです。
対策としては、
- 基準が緩い「ワイド団信」を利用する
- 団信に加入しなくても借りられる銀行を探す
などがあります。
ただし、団信に加入しない場合は、遺族に返済の負担がかかる可能性があるので、別の生命保険を加入するなどの対応が必要です。
まとめ
今回は、住宅ローン審査の流れと基準についてご紹介しました。
住宅ローン審査は、借り手の返済能力や信用度をチェックする重要なプロセスです。
住宅ローン審査に合格するためには、以下の点に気を付けましょう。
- 申し込み時に必要な書類や情報を用意すること
- 年齢や年収や健康状態などの基準を把握すること
- 滞納やローンなどの対策を行うこと
住宅ローン審査に合格すれば、あとは契約を結ぶだけです。
夢のマイホームを手に入れるために、ぜひ頑張ってくださいね!