PR

高度利用地区とは?建築基準法の関係や高度地区との違いを解説

高度利用地区とは?建築基準法の関係や高度地区との違いを解説 土地について
土地について
記事内に広告が含まれています。

今回は、土地の売買を検討しているファミリー世帯の方に向けて、高度利用地区という言葉について説明したいと思います。
高度利用地区とは、どんな意味なのでしょうか?
建築基準法とどう関係しているのでしょうか?
また、高度利用地区と似たような言葉に高度地区というものがありますが、これらはどう違うのでしょうか?
これらの疑問に答えるために、以下の内容をお伝えします。

高度利用地区とは?

高度利用地区とは、都市計画法で定められている都市計画のひとつで、横の面積をできるだけ抑えて高層の建物を作って、周辺の土地を有効活用するというものです。
例えば、東京や大阪などの大都市では、人口や建物が密集している場所が多くありますよね。
そういう場所では、土地が限られているので、低層の建物や面積の狭い建物が分散していると、効率の悪い土地の使われ方になってしまいます。
そこで、高度利用地区では、土地を細かく区切らずに、それぞれの土地をつなげてひとつの建物にすることで、より多くの施設や住居数を確保することができます。
さらに、その建物を高層にすれば、空間的にも豊かになりますし、周辺の景観や通風も改善されます。
つまり、高度利用地区は、土地をまとめて高層化することで、都市の機能や魅力を高めることを目的としているのです。

高度利用地区と建築基準法の関係について

しかし、高度利用地区には、都市計画法だけでなく、建築基準法でもいくつかの制限があります。
建築基準法の59条では、高度利用地区における建物の容積率や建ぺい率などは、都市計画において定められた内容に適合しなければならないとしています。
容積率とは、敷地面積に対する建築物の延べ床面積の割合で、建ぺい率とは、敷地面積に対する建築物の敷地面積の割合です。
これらは、建物の大きさや密度を規制するもので、高度利用地区では一般的に高めに設定されています。
しかし、例外もあります。
例えば、

・構造上撤去や移転が容易なもの
・公益的に見て必要なもの
・構造上やむを得ないもの

などは、容積率や建ぺい率などの制限から外れることができます。
これらは、木造や鉄骨造などの軽量な建物や公衆トイレや巡査派出所などの公益上必要な建物や学校や駅舎などの構造上仕方のない建物などが該当します。
ただし、これらは特定行政庁が個別に判断することになっています。
そのため、高度利用地区では、容積率が1000%以上になることもあります。
しかし、高度利用地区では、建築基準法の規制がさらに厳しくなります。

高度利用地区建築基準法の規制例

  • 容積率が600%を超える場合、建物の高さは150メートル以下にすること
  • 容積率が600%を超える場合、建物の外壁は防火性能を有するものにすること
  • 容積率が600%を超える場合、建物の敷地内に消防用水槽や消火栓などを設置すること
  • 容積率が600%を超える場合、建物の敷地内に消防車の出入りや駐車ができるスペースを確保すること
  • 容積率が600%を超える場合、建物の敷地内に避難階段やエレベーターなどを設置すること

これらの規制は、高度地区でより多くの人が集まり、より高い建物が建つことによる火災や災害のリスクを低減するために設けられています。
しかし、これらの規制も敷地や建物の形状によっては満たすことが困難な場合もあります。
そのような場合は、例外として59条の3によって審査を受けることができます。
59条の3とは、「高度地区における特別な規制の例外」を定めた条項で、以下のような内容があります。

  • 容積率が600%を超える場合でも、建物の高さが60メートル以下であれば、高さ制限を緩和することができる
  • 容積率が600%を超える場合でも、建物の外壁が防火性能を有しないものであっても、防火性能を確保する方法を採用すれば、外壁制限を緩和することができる
  • 容積率が600%を超える場合でも、消防用水槽や消火栓などの設置義務を免除される場合がある
  • 容積率が600%を超える場合でも、消防車の出入りや駐車スペースの確保義務を免除される場合がある
  • 容積率が600%を超える場合でも、避難階段やエレベーターなどの設置義務を免除される場合がある

高度利用地区と高度地区の違い

高度利用地区とよく似た言葉に、高度地区があります。
これらはどう違うのでしょうか?簡単に言うと、高度利用地区は高さだけでなく建ぺい率や容積率なども規制して、高層ビルを建設することを目的にしています。
一方、高度地区は高さの上限や下限を設定するだけで、他の規制はありません。
つまり、高度利用地区は建物の密集度や機能性を考えていますが、高度地区は景観や街並みを考えています。

高度利用地区の主なケース

では、どんな場合に高度利用されるのでしょうか?主に3つのケースがあります。

  1. 防災機能が低い密集地域
    火災や災害の際に避難経路や消火活動が困難な場所では、道路幅を拡張したり建物を耐火構造化したりするために、低層の建物をまとめて高層化することがあります。これによって、防災機能の向上や人命救助の効率化が図られます。
  2. 土地が有効活用されていない場合
    公共施設や事業所などが分散していて土地の利用効率が低い場合は、幹線道路沿いに高層ビルを建設して公共施設を集約することがあります。これによって、土地の有効利用や業務の効率化が図られます。また、人の流れを誘導して街の活性化にもつながります。
  3. 道路から建物の間に空き地を確保する場合
    道路から建物までの距離が狭くて騒音や排気ガスなどの影響が大きい場合は、道路から建物の壁面位置を制限して空き地を確保することがあります。これによって、騒音や排気ガスの緩和や景観の改善が図られます。

以上が、高度利用地区の主なケースです。
しかし、これらはあくまで一般的な例であり、実際には各自治体によって細かい規制や目的は異なります。
そのため、自分の所有する不動産や購入予定の不動産がどんな影響を受けるかは、必ず近隣の高度利用地区の状況を確認する必要があります。
高度利用地区に該当しているかどうかで、不動産の価値や利便性が変わってくることもあります。

まとめ

以上が、高度利用地区と高度地区についての説明でした。
高度利用地区と高度地区は、都市部の中心部や駅周辺などに指定される用途地域で、高層建築物を建てることができます。
しかし、高層建築物を建てるためには、建築基準法による特別な規制を満たす必要があります。
その規制は、容積率や建物の高さ、外壁の防火性能などに関するもので、火災や災害のリスクを低減するために設けられています。
もし、規制を満たすことが困難な場合は、例外として個別に審査を受けることができます。

土地の売買を検討している方は、高度利用地区や高度地区についても知っておくと良いでしょう。
高度利用地区や高度地区にある土地は、一般的な用途地域にある土地よりも価値が高い場合があります。
しかし、その反面、建築物の設計や施工にはより多くのコストや手間がかかる場合もあります。
土地の価値や建築物の条件をしっかりと把握し、自分のニーズに合った土地を選ぶことが大切です。

タイトルとURLをコピーしました